ゲーム脳vsスポーツ脳
平成十年七月文部省(現文部科学省)は教育現場での問題と脳の発達との関連性や、教育を取り巻く社会環境が脳に与える影響など、最先端の脳科学と教育を結びつける脳科学究の推進方策「脳科学と研究」発表した。今後十年間の研究で不登校や引きこもり、学習意欲の低下、あるいは「キレる」といった青少年の問題を調査していくことになっている。これまでにも教育に関するさまざまな社会問題が脳に関係しているという民間の報告もあったが、ようやく、国はやっと重い腰を上げたといえるだろう。この方策の中には、社会的環境の影響、例えばテレビやゲームなどが脳に与える影響について調べられることになっている。なぜ、テレビやゲームと脳との関係がことさら取り上げられているのだろうか?
以前、試験監督をしていた時のことである。試験中にもかかわらず、机の下でゲームをしている子供を目撃してびっくりしたことがある。これほどまで子供の社会にゲームがコミット(依存)してしまっているのかと、暗澹たる気持ちになったことを覚えている。それが、今や「ゲーム脳」という新たな問題まで踏み出すことになってしまったのだ。
「ゲーム脳」という言葉は、『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄 NHK出版)に由来する。簡単に説明すると「ゲーム脳」とは、大脳の前頭葉にある人間らしさを保つのに重要な「前頭前野」(前頭連合野)の働きがゲームをし過ぎると低下し、特に毎日2時間以上ゲームをする者は老人性痴ほう症の脳波形のような状態になることを指す。また、ゲーム脳の人は「キレやすい」「集中できない」「友達づきあいが苦手」という自覚症状があることも指摘されている。報告の是非はともかく、小学校低学年から毎日2時間以上ゲームをする状況では、脳が正常に発育するための様々な刺激を受ける他の活動時間が制限されていているという点だけを見ても、重大な問題だという認識が必要になってくるだろう。
これに対して、スポーツ脳は、走る、跳ぶ、投げる、泳ぐといった身体を動かすこと、またスポーツにおけるさまざまなトレーニング、試合での経験、コーチやチームメイトとの人間関係、これらの様々な活動による豊富な刺激で鍛えられる脳の働きを指している。そして、特に「ゲーム脳」では働かなかった前頭前野を活発にすることに注目している。
つまり、スポーツ脳を鍛えていくことは、単に健康面、体力面の向上だけではなく、自立心の向上、情緒の安定へ、ストレス解消といった精神的側面、ルールを守る力、集団適応などの社会性的側面、仲間との交流、目標に向けての練習とその達成のための努力などを通して、人間形成に多大な影響を与えるものである。そして、成長は学力の向上をもたらすこともだんだん明らかになってきている。スポーツ脳は、勉強においてもプラスに働くのである。(「スポーツ脳でグングン子供が伸びる」 高畑好秀 佐藤創)
■がんばれ!スポーツ脳!!!





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